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広告代理店のM&A傾向

テレビ・新聞・雑誌・ラジオの、いわゆる広告の「4媒体」に対し、近年はインターネット広告の存在感が大きくなりつつあります。広告市場での売上規模は、2021年からインターネット広告が4媒体を上回っています。

急激な広告業界の再編が進む中、広告代理店におけるM&Aも加速。中小のインターネット広告会社が大手広告代理店に買収される事案も、多く見られるようになりました。

当ページでは、広告代理店におけるM&Sの動向、広告代理事業の売却相場、売却を成功させるポイントや注意点、M&A成立までの流れなどについて解説しています。

広告代理店とは?

広告代理店の特徴

広告代理店とは、広告枠を持つメディア(新聞、雑誌、ネットなど)と商品・サービスを宣伝したい広告主との間を仲介する企業を言います。広告主に代わってメディアから広告枠を獲得することから、広告代理店と呼ばれるようになりました。

広告代理店の仕事は主に2つ。1つめが広告戦略の立案、2つ目が広告の制作です。広告主からの広告作成依頼、またはメディアから獲得した広告枠の販売が広告代理店の主な収入減となります。

業界の特性

2023年における国内の広告業界の動向について、媒体別の売上状況を見てみましょう。

テレビ、新聞、雑誌、ラジオのいわゆる「4媒体」の総合売上は2兆3161億円。広告全体に占める4媒体合計の割合は31.7%です。

一方、広告全体に占めるインターネット単独の割合は実に45.5%。今や広告業界の売上は、大きくインターネットに依存していることが分かるでしょう。

※参照:電通|2023年 日本の広告費
https://www.dentsu.co.jp/news/release/2024/0227-010688.html

広告代理店のM&A・売却傾向

インターネット広告業界を軸にしたM&Aで業界再編が進行中

近年まで、日本における広告はテレビ・新聞・雑誌・ラジオの4媒体を中心に行われていましたが、徐々にインターネット媒体での広告比率が増加。2021年に比率は逆転し、ついにインターネット媒体が4媒体を上回る売上を記録しました。

この現状・動向に対し、従来の広告代理店も方向性の再検討を余儀なくされています。大手広告代理店による中小インターネット広告会社の買収や既存IT企業による広告業界への参入など、業界全体で大きな再編の動きが進行中です。

大手広告代理店への資本集約が進む見通し

インターネット広告の急成長が続く中、大手広告代理店は自社のインターネット広告事業を拡大するべく、中小インターネット広告会社の買収を積極的に進めています。また、これまでインターネット広告事業をほとんど手がけたことのない大手広告代理店も、新事業の獲得を目的に中小インターネット広告会社の積極買収に着手し始めました。

これらの流れは今後も進行する見通しであることから、業界ではますます大手広告代理店への資本集約が進むものと予想されます。

加えて、従来の4媒体を中心に事業を進めてきた中小広告代理店は、社内のリソース不足等により、インターネット広告への積極的な参入が難しい状況です。この状況を打破するため、あえて大手へ身売りし、大手が持つインターネット広告のノウハウや設備の獲得を目指す企業も少なくありません。この動きもまた、広告業界における大手への資本集約を押し進めています。

コロナ禍をきっかけにインターネット広告の拡大が加速

新型コロナウイルス感染拡大による自粛型の生活が長引いた結果、国内ではインターネット動画市場やコネクテッドTV市場が急速に拡大。かつてインターネット動画等に関心のなかった層も、コロナ禍をきっかけにインターネット動画の視聴者として定着しました。

多様な層がインターネット動画の視聴者へと育ったことから、インターネット広告への企業ニーズが大きく拡大しています。

インターネット広告事業のグローバル化

情報獲得の手段が4媒体からインターネットへと移行しつつある現代、広告代理店の販路は国内を超え、広く海外へも向けられるようになりました。日本の広告代理店における海外広告代理店の買収、またはその逆のパターンの買収は、今後多く見られるようになるでしょう。

広告代理店の売却相場価格

結論から言うと、広告代理店の売却相場は不明です。M&Aの実施について、上場企業は情報公開を義務付けられていますが、非上場企業のM&Aについては情報が公開されることはほとんどないためです。

一つの目安としては、広告代理店の売却相場は次の計算式で算出されるとも言われます。

ちなみに、過去には以下のようなM&A案件がありました。

■案件例①

■案件例②

上記2つの案件情報を見て分かる通り、広告代理店のM&Aの売却価格は案件ごとに大きく異なります。自社の売却価格の目安を知りたい場合には、M&A仲介会社に直接相談してみましょう。

広告代理店のM&A・売却を成功させるポイント

M&A仲介会社のサポートを受ける

広告代理店のM&A・売却を成功させるための王道は、M&A仲介会社のサポートを利用することです。

M&Aを成立させるためには、買収側・売却側に関わらず煩雑かつ多くの工程が必要となります。特に初めてM&Aを行う企業にとっては、専門のM&A仲介会社のサポートを頼もしく感じられるでしょう。

また、M&Aを成功させるためには、相手企業との相性も重要なテーマとなります。形式的には両社のニーズが一致したとしても、企業文化や経営方針等の相性が合わず、M&A成立後の経営に混乱をきたす例が見られるからです。企業同士の相性に関する助言を得られる点も、M&A仲介会社を利用する1つのメリットになるでしょう。

M&Aマッチングサイトで売買相手を探す

M&Aマッチングサイトに掲載されている案件をチェックし、自社のM&Aとニーズの一致している相手企業を探します。

M&Aマッチングサイトには、膨大な数の「買いたい」「売りたい」案件が掲載されています。時間をかけてじっくりと各企業をチェックすれば、自社にぴったりの相手側が見つかるかもしれません。

M&A仲介会社の恣意性が介入する余地がない点も、M&Aマッチングサイトを利用するメリットになるでしょう。

広告代理店のM&A・売却をする際の注意点

売却先の選定で主観を介入させない

自社の売却先を選定する際には、できるだけ主観を介入させないようにしましょう。可能な限り客観的データを集め、データを中心に売却先の選定を行います。

主な選定基準は、現在の財務状況や売却後のシナジー効果の予測など。経営理念や企業文化などのデータ化が難しい部分についても、各種ヒアリング等を通じてなるべく客観的に判断することが大切です。

くれぐれも「大企業に売れば従業員も喜んでくれるはず」「あの企業は付き合いが長いから信頼できる」など、経営者の主観的理由で売却先を選ばないようにしましょう。

自社のマイナス情報を包み隠さず伝える

売却交渉に際しては、相手企業に対して自社のマイナス情報も包み隠さず全て伝えます。

少しでも高い価格で自社を売却したいと思うあまり、つい自社の不都合な事情を隠したくなる気持ちは理解できますが、いかに上手にマイナス情報を隠したとしても、M&Aが成立すれば確実に相手企業の知るところとなります。信頼関係を裏切った形になるため、損害賠償を求められるかもしれません。

経営者として認知していない情報も含め、可能な限り自社の不都合な情報も顕在化させ、交渉の段階で相手方へ正確に伝えましょう。

守秘義務を守る

M&Aの交渉中はもちろんのこと、M&A成立後も一定期間は双方の守秘義務を守る必要があります。

昨今、後継者不足等を背景としたM&Aが加速しているため、売却成立後、マスコミや同業者等の様々な方面から自身のM&A体験談を求められる可能性があります。

しかしながら、M&A契約においては、双方に一定期間の守秘義務が課されていることが一般的。守秘義務を破って双方の信頼関係に傷を付けないよう、売却成立後は、十分に配慮のある言動が望まれます。

広告代理店・事業をM&A・売買する流れ

専門家に相談しながらM&Aの相手方を選定する

M&Aの相手方を探す方法にはいくつかありますが、広告代理店の業態は非常に複雑であることから、一般的にはM&A仲介会社などの専門家に相談しながら相手方を探す流れとなるでしょう。

専門家へ相談する際には、事前にM&Aの目的を具体化・明確化しておきます。目的が漠然としていると、専門家はアドバイスの方向性を誤る恐れがあるからです。

M&A仲介会社は、相談企業の目的や条件等に応じ、自社が抱えている案件の中から適切と考えられる相手企業を複数提示します。提示された企業の中から交渉相手を絞り込んでいく流れとなります。

トップ面談と条件交渉を行う

相手企業を1社に絞り込んだら、M&A仲介会社の手配でトップ同士の面談を実施。買収側・売却側のトップが面談し、双方の経営理念や企業文化、M&Aに向けた思いなどを、腹を割って話し合います。相手の人柄を知ることもトップ面談の重要な目的です。

なお、一般的にトップ面談で条件交渉などを行うことはありません。当該M&A案件において、トップ同士が考えていること、感じていることを話し合い、以後の具体的な条件交渉に入るべきかどうかを考える機会とします。

基本合意契約を締結する

双方がM&Aに前向きとなれば、価格等を含めた具体的な条件交渉へと入ります。条件交渉において大筋の合意を得られたら、その合意内容をまとめた「基本合意契約」を締結します。

なお、基本合意契約には法的拘束力がありません。そのため、当契約のみをもって将来のM&Aを確約したことにはなりません。「概ね、この条件に沿ってM&Aに向けた動きをしていきましょう」という基本方針の確認書面という位置づけです。

デューデリジェンスを実施する

買収側が売却側に対するデューデリジェンスを実施します。

デューデリジェンスとは、財務や法務、人事などのあらゆる側面から売却側の企業実態を調査すること。買収側が自社スタッフや公認会計士、弁護士などを売却側へ派遣し、潜在的なリスクの有無や程度などを客観的・専門的な視点から調査します。

なお、一般的にデューデリジェンスに要する費用は買収側が負担します。売却側は、買収側から求められた資料等を誠実に提出しなければなりません。

最終交渉を行った上でM&Aの最終契約を締結する

デューデリジェンスの結果を踏まえ、双方が最終交渉を行います。この時点で、価格や条件の再交渉や変更が行われることもあります。

最終交渉を経て双方がM&Aの合意に至れば、M&Aの最終契約を締結。最終契約には法的拘束力があります。

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